私が入社面接を受けたのは、東日本大震災の1週間後でした。世の中が新規採用どころではない混乱ぶりでしたので、中止になることも覚悟しましたが、計画停電の最中に、面接してもらいました。ちょっと暗い社内での面接は印象深く覚えています。私は子どもが産まれてから実家のある厚木に住んでいましたが、やりがいのある仕事のためには、都内に行くしかないと思っていました。
ただ、この時娘は3歳で、保育園のお迎えを考えると、都内への通勤には無理がありました。自宅近くのエンジニアの求人などあまりなかったのですが、保育園から徒歩5分のこの会社に出会えたことを今ではとても感謝しています。最初は場所よりも、代わり映えしないシステム会社の求人を眺める中で、地図という全く未知の分野の独自技術を強みにしているところに魅力を感じて応募しました。年齢的にも新しいことにチャレンジする最後のチャンスだと思いました。
内定をもらった時には、選考が進んでいる会社も何社かあったのですが、震災後、家族と離れた場所で働くことのリスクを痛感していたところでしたので、こんな状況下ですぐに内定を出していただけたことも大きく入社を決めました。
当社が自社開発している映像配信サービス『クラストリーム』の全般を担当しています。コードを書くことはほぼありませんが、もともと上流工程の開発をやってきましたので、商品企画や基本設計などに携わっている他、最近では商品の営業や広報など、ありとあらゆることを担当しています。毎日たくさんのお客様とお話しながら、新しいことばかりが起こりますので、おかげさまで飽きることなく仕事をしています。
お客様から頂いた様々な要望や、最新の技術動向、お客様のビジネスにどうしたら貢献できるのか、いろんな方向にアンテナをはり巡らせて、それを形にしていく仕事ですので、「ものづくり」に携わっている実感はあります。
入社してすぐの打合せが、『クラストリーム』の元になるデモ版アプリを作るためのブレインストーミングでした。「世界にないものを考えろ」と言われて、ない知恵を絞って毎日毎日みんなで考えました。いままでシステム開発には多数かかわってきましたが、仕事でゼロからものづくりをするというのは初めての経験で、すごく面白かったのと同時に、面白い人がたくさんいる会社だなあと思いました。好奇心の塊のような人、課題があると瞬く間にいろんな情報を集めてくる人、ものづくりが大好きな人がたくさんいる会社です。
大変だったこととしては、今でも慣れないのですが営業の仕事で、初めての営業が、たった一人で京都のお客様のところに行きました。そもそも営業なんていない会社でしたし、『クラストリーム』の営業も始めたばかりで、商品の説明はできても、どうやってセールスにつなげられるのか分からずに右往左往していました。今ではコンサルタントの方の指導や、たくさんの場数を踏んで、少しはましになったと思うのですが、今でも、営業は「売る」というよりも、「どうしたらお客様の役に立てるか」というスタンスで試行錯誤をする毎日です。
若い時は、仕事は一生続けるのが当たり前だと思っていました。特に学生時代は男女差など感じることもなく、自分が女性であるということを意識することがそもそもなかった気がします。ところが、子どもを産んで働き続けるというのが、こんなに難しいということを、出産後、初めて痛感しました。
もともとの私は、あまり人に頼らず完璧主義な面が強かったですし、毎日残業ばかりしていても、それが当たり前だと感じていました。むしろ早く帰る人を白い目でみるような気持ちすらあったと思います。
しかし、子どもを産んで仕事のやり方は大きく変わりました。私にとって仕事とは、家族や仲間に毎日支えられ感謝しながら、私が、自分の家族や同僚やお客様や、たくさんの方々、そして世の中を支えていけるように力を尽くすことです。ただ、自分のスキルを高めるとか、長時間働くといった自己満足の世界ではなく、本当に価値のある仕事ができるように、日々努力していきたいと思っています。
自分で何でもやってみたい人が、うちの会社に向いていると思います。大きな会社では、長い間、自分の意図した開発は全くできません。特にシステム開発の現場では、全体がまったく見えずに開発しているメンバーをたくさん見てきました。すみずみまで理解して納得するために、どんどん勉強して、吸収して、突き進んでいくような、イキのいい人と一緒に働けたらなと思います。アイ・ピー・エルはそうした働き方ができると思います。
また、真摯に仕事に取り組む姿勢があれば、私のような時間制限のある働き方でも認めてくれる懐の深さがあります。
会社近くに自宅がある社員が多いせいでしょうか、社員の中には男性でも育児や介護に積極的に関わっている人も多く、みんな本当に快く、理解して支えてくれます。
これは当たり前のことのようで、すごく貴重な環境だと声を大にして言いたいのと、これから入社される方には、ぜひ同じように、様々な事情や環境を受け入れられる思いやりを持っていただければな、と思っています。